ファクトリー内のエンジンダイナモ室にて撮影

ドゥカティと私

私はなぜドゥカティに魅力を感じるのか? 今回ウェブサイトを立ち上げるこの機会に、自分なりにあらためて考えてみました。
 でも、これという確かな答えはなかなか見つかりません......。
 そうですね、しいて言えば、私はドゥカティに縁があったということでしょうか。
 学生の頃、なんとなくバイクというものに乗りたくなって免許をとったのですが、そんな私をいきなりディープなバイクの世界へ引きずり込んだのは、当時の900SSやM.H.R.等のベベルギアドライブのドゥカティ達でした。そしてそれ以来、ドゥカティにどっぷり浸かったまま、もう20年近くの歳月が流れようとしているのです。そしてその間、ドゥカティ以外に私を振り向かせるバイクが出現する事はありませんでした。
 男と女の関係と一緒で、好きということにもっともらしい理由など無いのかもしれません。
 
 今年のB.O.T.T.のE.T.クラス決勝中のことです。2位を走る我がファンデーションの小山選手が、5周目の第1ヘアピンで1位のマシンをとらえ、とうとうトップへ躍り出ました。その時、満員の第1ヘアピンの観客席から期せずして「ウオー!」という歓声と共に盛大な拍手がわき起こったそうです。 「名越君おめでとう。やっぱりバトルは外車が勝たなきゃだめだよな。」と言いながら、第1ヘアピンでレースを見ていたグッツィスポルトの神宮司さんがその事を教えてくれました。これを聞いて私は思わず涙が出そうになってしまいました。嬉しかったのです。
 私のすることを支持してくれる人達が沢山いる。私が目標に向かって努力して、それを達成すると一緒に喜んでくれる人達が沢山いる.........そう思うと私は柄にもなくうるうるしてしまったのです。
 
 考えてみれば、ドゥカティという会社にとってツインエンジンのバイクは商品構成の全てです。
 最近国内メーカーから2気筒のバイクがいろいろと発売されていますが、私から見るとそれらは皆メーカーが片手間に作っているもの。(勿論、開発の担当者にとっては片手間ではなくそれに全ての情熱をかけているのでしょうが.....)会社にとっては、主力商品の4気筒バイクでカバーしきれないマーケット、いわゆるニッチを狙った商品という存在でしかないと私は思っています。
 それに対して、2気筒が全てであるドゥカティ社が社運を賭けて生み出すバイク達が、そんな国産メーカーの造る2気筒のバイクに対してあらゆる面で優れているのはあたりまえ......いや、ぜひそうあって欲しい、そうあるべきだ、そうあらねばならない、と私は願い、これからもドゥカティと深く関わり合った人生を歩んでゆくのだろうと思います。
 
1999.4.18 名越公一 記.