名車復活計画__その1__888SPS
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 さて、エキゾーストパイプです。サイレンサーを除くエキゾーストパイプ部分については、なんと、SP2、SP3、SP4、SPS、SP5、全て同じ部品が使われております。エキパイ外径はこのとき既にφ45mm。その数値はその後に発売される916や996のスタンダードモデルと同じです。この数値だけを見ても、888のSPシリーズというのがいかに過激な存在だったのかが判ります。

 もう一つの画像のエキパイは、私が所有していた91年型888レーシング(コルサ)のものです。パイプ径は同じですが、集合部の造りが違います。SP系に用いられているものの集合部はプレスで成型した部品を重ねて溶接し、製作されています。それに対してコルサのものはパイプを溶接して作られています。性能的なことを抜きにしたとしても、コルサのエキパイの方に手間がかかっていますよね。
 この集合方式のエキパイは当時のドゥカティ・コルセの重鎮であったフランコ・ファルネ氏の発案により製作されたもので、それにちなんでファルネ・エキゾーストと一部では呼ばれています 。

 今回はせっかくですから、SPSにこのエキパイを取り付けてみました。
 もう少し時代が進むとエキパイの集合方式はこの方式からスパゲッティタイプと呼ばれるものに進化してゆきます。
 
 
  事故車から外したエキパイのように見えますが、これはれっきとしたSPSの右サイレンサーのパイプです。そしてこれが本来の形状です。
  このサイレンサーをバイクに取り付けるとこのようになります。つまりステッププレートやブレーキペダルとエキパイが干渉してしまう為にこんな加工がしてあるのです。

 SPSに採用されたサイレンサーは91年型888レーシングの部品そのものです。それは部品番号からも確認できます。しかしレーシングバイクのステップ周りとストリートモデルのそれとはかなり形状が違うため、レース用のサイレンサーをそのまま取り付けるためにはこんな荒業が必要となったわけです。今時こんな事、その辺の改造屋さんでもしませんよね。
 パイプの入り口から中を覗いてみても、あまりの仕打ちにあきれてしまいました。いくらSPSの純正とはいえこんなサイレンサーは私の好みではないので、パイプが湾曲してステップ周りを避けている、よく見かけるタイプのサイレンサーを取り付けることにしました。

  エキゾースト関係が取り付けられた車体はもう完成間近という感じです。888系のサイレンサーは左右対称に綺麗に取り付けることがなかなか難しいのはやった事がある人にはお判りいただけると思います。幸いこの車両には結構すんなりと綺麗に取り付けることが出来ました。ちなみにSPシリーズのサイレンサーのパイプ径は既にφ54mmとなっているのです。凄いですね、SPシリーズ。
   
 次にガソリンタンクを取り付けました。
 フロントブレーキディスクが外されているのは、アウターローターにクロメートのメッキをかけるため、外してメッキ屋さんに送ってしまったからです。
   
 ノーマルホイールのままもちょっと何ですので、マルケジーニの新品を奢ってしまいました。お金を出してホイールを買うならマルケジーニ以外に選択肢は無いですよね。
   
 これはオイルクーラーの前方に位置するエアコンベアーです。左が正常な状態ですが、SPSの場合コルサのラジエーターを使っているためにこの部品とラジエーターが干渉します。工場出荷時からそれを無理やり取り付けているので、暫くすると干渉する部分から画像右のように割れてしまいます。そんなわけで今回この部品は取り付けずに外したままにしておくことにしました。
 
 さて、ここまでくればもうすぐエンジンがかかります。とりあえずエンジンオイルとクーラントを入れたところで、翌日にエンジンをかけるつもりで作業を終了としました。 
 ところがまだ前途多難だったのです。

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