名車復活計画__その1__888SPS
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 バイクが入庫した時のコンディションは年式なり、というか12年も前のバイクなのであまり期待していませんでした。走行距離の5.882kmというのはほぼ実走行です。厳密に言うと公道を走った距離が5.882kmで、その他にスピードメーターを外してサーキットを走っていたそうなので、実走行距離はおそらく7〜8.000kmというところではないでしょうか。正規輸入車ではなく並行輸入車で、おかげでオリジナルのカーボンのガソリンタンクが付いていました。また、サーキット走行時には別のタンクとカウルを使っていたのでこれらはオリジナルペイントのままで塗装もかなり良い状態でした。シートカウルは塗り替えた形跡がありました。

 TFDに入庫するまでは実際に公道を走っていましたので、エンジンに特別問題は無いと思っていたのですが、入庫後に改めてエンジンをかけてみるとエンジンはまともにかかりませんでした。まずバッテリーが弱い。そこでバッテリーを充電して再度トライすると、セルモーターが回ったり回らなくなったりする。これはセルが止まった時に何処の位置で止まったかによって症状が出たり出なかったりするのでセルモーターの不良です。そしてさらにエンジンをかけようとしていると、スターターフリーホイールが空回りするようになり、クランキングが出来ず、結局エンジンはかからずじまいでした。

 どちらにしろ初めからエンジン車体共に完全フルオーバーホールするつもりでしたので、エンジンがかかるかどうかはどうでも良かったのですが、改めて現存するこの手のバイクは程度が悪くてあたりまえなのだと思いを新たにしました。特にSP系はエンジンの調子が悪い固体が多いので、エンジンの調子が悪い→エンジンが頻繁に止まる→セルモーターを回す→エンジンのかかりが悪い→セルモーターを酷使する、という繰り返しで、特にセルモーターやフリーホイールが早い時期に傷みやすいようです。また92年まで使用されていたP7タイプのCPUは、エンジンがかかりそこなった時等に起こるクランクシャフトの逆転防止の機構が無いので、特にスターター関係を傷めやすいようです。

 そんなわけで我がSPSは入庫と同時に分解され始めました。
 白いフレームは汚れが目立ち、いくら磨いてもゴムの跡が黒く染みて汚れが取れないので、フレームは塗装しなおすことにしました。そのためにハーネス等も全て外して綺麗に掃除しました。
 ステアリングステムも外しましたが、外したところで良く見ると画像のように何か粒粒のようなものがベアリングの上に沢山あります。良く見るとブラストの鉄ビーズでした。フレームを振るとヘッドパイプに繋がっているメインフレームの方から沢山出てきます。こんなのがステムベアリングに沢山乗っかっているのを見るとぞっとしますね。そういえばこの頃の年式にはこんな事がよくあったと記憶が蘇りました。ビーズがヘッドパイプに出てこないように、繋がっている穴をシリコンで塞いである場合が多いのですが、そうなっていない固体はこんなになってしまうのですね。
 エンジンからフレームを引き剥がした状態です。スイングアームはエンジン側に残ります。94年に888で全日本フル参戦していた時はいつもこんな光景が繰り広げられていたのを思い出しました。
 
 単体になったフレームです。こいつはこれから塗装屋さんに送られます。ブラストで一度古い塗装を完全に剥がし、今流行の粉体塗装ではなく、オーソドックスなガン吹きの塗装にします。ボテボテした塗膜は個人的に嫌いなので出来るだけ薄く綺麗にという注文を出しました。
 スイングアームを取り外し、エンジンが単体になりました。これから順次分解していきますが、果たして中身の状態はどうなのでしょう?興味のあるところです。

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