名車復活計画__その1__888SPS
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 888SPSの純正ピストンです。部品番号は異なりますが、当時のコルサのピストンと見分けがつきません。工場出荷時からこんなピストンを組むとは、メーカーは何を考えていたのでしょう?
 ピストン自体の状態は画像の通り非常に良好でした。目立った傷や問題になる部分は全くありません。ピストンリングの状態も良く、シリンダーの中に挿入して合口隙間を測定したところ全ての寸法は許容範囲内に収まっていましたので、リングは再使用することにしました。
 
 
 使用されていたバルブをクリーニングしたものです。大径化されたインテークφ34mm、エキゾーストφ30mmのバルブ径は既に916SPと同じサイズです。
 バルブには、ステムの曲がりや減り、その他の問題は皆無でした。よってバルブは再使用することにしました。
バルブフェースは異物を噛み込んだ痕等の為に状態が今ひとつだったので、フェースカットを行いました。画像からお分かりになるようにバルブフェースは綺麗にリフレッシュされています。
 こちらは燃焼室とバルブシートの状態です。
 懸念されたバルブガイドとバルブステムのクリアランスは特に過大になってはおらず、バルブガイド交換の必要ありませんでした。純正はスチールのガイドなので、より高品質のブロンズ製ガイドに交換しようかとも考えたのですが、ガイドの材質が高級なものに変ったところで信頼性と耐久性は上がりますが性能自体が上がることはありません。今回はオリジナル度を優先し、そのままで行くことにしました。ガイド交換が必要になったら次回はブロンズ製のものに交換しようと思います。
 シートのバルブとの当たり面はやはり異物等を噛み込んで傷がつきあまり良い状態ではなかったので、シートカットを行いました。
 このあとバルブシートとバルブフェースの摺り合わせを軽く行い、双方の当たりを確認します。
 燃焼室全体の画像です。ヘッドの面は軽い摺り合わせを行い、汚れその他の異物を出来る限り取り除き、綺麗で平滑な状態にします。この面の平面度に問題があると、新品のヘッドガスケットを用いても圧縮漏れを起こし、冷却水通路に燃焼ガスが吹き抜けます。
 シリンダー上面にも同じことが言えますので、私は同様に摺り合わせを行います。
 888SPSのヘッドには「G」という刻印が打たれています。これはヘッド自体を管理するためにドゥカティ社内で独自におこなわれている識別方法です。888SP5のヘッドにも同様に「G」の刻印があります。SP4には「M」、その他の例を挙げれば851は「D」、888SP2と888SP3は共に「A2」、916SPは「B」、996SPSは「T1」、です。
 刻印が同じということは同じ仕様のヘッドであるという事を意味し、従って部品番号も同じです。つまり上記の刻印からは、888SPSと888SP5のヘッドは同じものであるが、888SPSと888SP4のヘッドは別のものであるということ等が判ります。
 またこの刻印はそのヘッドが使用しているカムシャフトとも深い関係があるようで、「Gカム」が使われている888SPSと888SP5には「G」の刻印が、「Aカム」が使われている888SP2や888SP3には「A2」の刻印が、「T1カム」が使われている996SPSには「T1」の刻印があります。

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