名車復活計画__その1__888SPS
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 こちらはヘッド内部の部品です。幸い状態は全く問題なく、かなり良い状態でした。私の気のせいかもしれませんが、この時代のロッカーアームはメッキの材質が良いようで、メッキの剥離を起こす確率が小さいように思います。当時は環境に対する規制が今ほど厳しくはなかったので、上質のメッキをかけることが比較的容易だったのでしょうか。メッキをかけるという作業はかなり環境に負担をかけるものらしいです。
 バルブリターンスプリングには通常のものと比較して線形が細く、反発力の弱いものが使用されています。これはコルサに使用されていた部品そのものです。高回転での抵抗は小さく、その分がエンジン出力に反映されますが、その反面アイドリング付近や低速域では不利になります。安定したアイドリングをメーカーは最初から捨ててかかっています。何という割り切りでしょうか!
 ちなみにリターンスプリングを通常のものに交換するとアイドリング付近はかなり安定します。しかしSPSですから、私はこのコルサのスプリングをそのまま組み込みました。
 
 
 せっかくですから給排気のポートを少し均して研磨しました。拡大はしていません。ヘッドにインマニを取り付けた状態で段差を解消させて磨きましたので、こんな仕上がりになりました。
 さて、こちらはクラッチハウジングです。
 右側がSPSのスタンダードで、スチール製、かなり軽量化を意識して穴が沢山開けられています。このようにスチール製で軽量化されたクラッチハウジングが851時代から最近まで伝統的にSPやSPSと呼ばれるモデルに使用されてきました。
 そして左側はアルミ製のクラッチハウジング。最近の一部のモデルに使用されている純正品です。軽量穴はありませんが、さすがにアルミ製だけあってスチール製のものと較べて圧倒的に軽量です。価格もそこそこなので今回はこちらのアルミ製のものを使用することにしました。

   
 組み込む前の状態のピストンです。リングよりも下の部分はもともとモリブデン加工されていて黒いのですが、さすがにある程度以上走行するとコーティングが薄くなったり剥がれたりしがちです。そこで今回たまたまお手軽なモリブデンコーティング加工の缶スプレーが手に入ったので試しに使ってみました。気休め程度のものだと認識しています。組み上げたエンジンに火を入れたとき、シリンダーとピストンスカートの馴染みの足しになるのでは、位の感覚です。
   
 ちょっと途中のレポートをはしょってしまいましたが、エンジンがここまで無事に組みあがりました。SPSのエンジンはアルミ色の部分と黒く塗装された部分が入り混じります。こういうのを世間一般に「ゼブラ」と呼んだりするのでしょうか? ...ギターみたいに。
 フロントシリンダーのウォーターユニオンに水温センサーが取り付けられているのが判ると思います。見慣れないウォーターユニオンに見えるかもしれませんが、これは748RS’00と996RS’00に使用されていた部品です。これを利用して水温センサーを取り付けました。目的は水温の変化をセンサーがよりダイレクトに感知できるようにです。
 
 これがSPSの水温センサーとオリジナルの取り付けアダプターです。これがちょうどヘッドの反対側に取り付けてあるのですが、何しろこの形状です。水温センサー部分は穴の奥の奥ですから、とても水温の変化をリニアに感知できるとは思えません。センサーが上を向いて取り付けられるので、もしかすると穴の奥には気泡が溜まってしまう可能性さえあるでしょう。私には当時からとても気になっていた部分でした。
   
 こちらはエンジンの右サイドです。
 オイルブリーザーは現行車のプラスチック製の純正部品に交換しました。当時のオリジナル部品は必ずオイル漏れを起こすので、そのまま使用するわけにはいきません。アフターマーケットパーツとして各社からこの部品が発売されていますが、私の感覚では、このバイクにはやはり純正の雰囲気がしっくり来ると思います。

   
 バルブタイミングを調整しているところです。何度も言いますが、バルブリフトゲージは4個あるにこしたことはありません。バルブタイミングを計測して調整の必要が生じた場合はオフセットキーを用いてそれを行います。今回の調整にあたっては、2度のオフセットキーを1個、同じく4度のものを2個、6度のものを1個、それぞれ使用しました。

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