名車復活計画__その1__888SPS
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 早速エンジンを分解していきます。クラッチ側を分解していきクランクギアが外れるとクランクシャフトのベアリングが見えました。見慣れたボールベアリングではなく、ローラーベアリングです。ここにこのタイプのベアリングが使用されていたのは91年から93年までの888レーシングと、ストリートモデルでは888SPSと888SP5です。
 当時レーシングフィールドではクランクケースの破損が頻繁に起こりました。その場合まずクラックがクランクベアリングの周りに発生する事から、クランクベアリングをボールからローラーにして点から線へと応力を分散させて問題解決の糸口にしようとしたのでしょう。しかし実際にはこの方法に優位差があると認められなかったらしく、レーシングモデルも94年型から従来のボールベアリングに戻り、ストリートモデルも含む全てのモデルは現在まで一貫してボールベアリングを用いています。
 
 
 こちらはクラッチの反対側の発電機側で、やはりローラーベアリングが使われています。これら左右の2個は同じ部品です。
 ケースにクラックが入る場合は比較的こちら側、発電機側の方が多いので、入念にチェックしました。幸いそれらしきものは見つからず一安心です。
 エンジンが分解されている途中の様子です。クランクケースはまだ分割されていませんが、それ以外の部品はケースから外されています。ヘッドはまだコンプリート状態のままです。これからどんどん作業が進み、各部品が単体になるまで分解されてゆきます。
 クランクシャフトとコンロッドのアッセンブリーです。クランクシャフトにはローラーベアリングのインナーレースが嵌ったままです。
 クランクウェブは内側から切削して軽量化され、タングステン系の合金で出来たバランスウェイトが打ち込まれています。品番は14620141Aで、91年型888レーシングと同一部品です。コルサのクランクそのものが本当に使用されているとは驚愕します。なんと贅沢と言うかスペシャルな造りなのでしょう。
 コンロッドはこの時代、まだチタニウム製ではありませんが、Pankl製のH断面削り出しです。この時代のコルサのものと同じかどうかの確認は出来ませんでしたが、もし同じものではなかったとしても、大差ないものであることは間違いありません。コンロッドボルトにはPankl製とUmbrako製のものが存在するようですが、このコンロッドにはUmbrako製のものが使用されていました。

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