名車復活計画__その1__888SPS
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 ギアボックスの分解点検です。このギアボックスはSPミッションと呼ばれているもので、SPと名の付くような歴代のスポーツ性の高いモデルに、現在でも使用されています。
 こちらはメインシャフト、判りやすく言うとクラッチの真中にあるシャフトです。特に異常は見られませんでしたが、ベアリング類は全て交換します。スラストワッシャーも点検して傷んでいるものは交換します。
 必要な部品を交換した後に再び組み上げられたメインシャフトです。傍らにあるのは交換された部品です。今回のようにギアボックスを分解した場合、サークリップの再使用はお奨めできません。交換するべきでしょう。筒状のニードルベアリングはシャフトの中央を通るクラッチプッシュロッドの為のものです。エンジンに組まれている状態では交換不可ですから、分解した時には是非とも交換しておきたい部品の一つです。
 これらはギアボックスに使用されているニードルベアリングですが、下側の2分割されているものが旧タイプ、上側のワンピースのものが現行のものです。SPSには旧タイプのものが使用されていましたのでニュータイプの部品に交換しました。
   
 こちらはレイシャフト、判りやすく言うとスプロケットのついているシャフトです。このシャフトは過酷な使用状況下では曲がる事があります。必ずVブロック等に載せて曲がりのチェックをします。このエンジンでは特に問題は見当たりませんでした。
   
 必要な部品を交換した後に再び組み上げられたレイシャフトです。傍らにあるのは同様に交換された部品です。背中合わせになっている3速と4速のギアの間にあるスラストワッシャーは、ある年式を境に幅の広いものに代わっています。(場所は6枚のギアの真中です)SPSには年代的に旧タイプが使われていますので、それを新しい幅広のタイプのものに交換しました。またその他のニードルベアリング等も新型に交換しました。
   
 クラッチの内側、1次ギアの奥のクランクケースがこのような形に成型されています。もう少し年代が進むとここにシフトドラムの回転を制御するギアーストッパーと呼ばれる機構が付くことになります。
 もっと前の年代ではここはまっ平らで何も無く、SPSの年式ではクランクケースにその型が設けられたものの肝心のギアーストッパー自体はまだ装着されていません。ちょうど過渡期の仕様と言えるでしょう。
 穴にタップを立ててネジ穴加工をすれば、現行車の部品をそのまま取り付けて本来の姿にする事が出来ます。そうすればシフトのタッチと信頼性が大幅にアップするので、この際ですからそうすることにしました。
   
 これがケースを加工してギアーストッパーを取り付けた状態です。当然と言えば当然ですが、現行車と全く同じ眺めです。
   
 ケースにシフトドラムが装着されるとこのようになります。各ギアの正確な位置にシフトドラムを定位させる役割を持ちます。
 SPSオリジナルのシフトドラムにはギアーストッパーの相手方になるカム山部分が存在しないので、この部品にはTFDに転がっていた996SPSのものを使用しました。
   
 これはクランクケース右下に位置するオイルネットフィルターです。  良く見ると穴の形がおかしい事に気付きます。本来は真円のはずが、斜めに伸びた長穴になってしまっています。誰かが強く締めすぎたのですね。
 勿論新品に交換しました
   
 ギアボックスとクランクシャフトが組みあがったので、それをクランクケースに組み込みました。当時、クランクケース左右の間には紙のガスケットが存在しましたが、最近のエンジンにはシリコンガスケットが用いられており、そのようなものは存在しません。ケース内部のパーツの左右スラストシムを調節して寸法を適正にすれば、当時のエンジンもシリコンガスケットのみでシールしてOKです。
 画像に写っているのはエンジン左側のフライホイール等がある側です。

   
  新品に交換したスターターフリーホイールです。ワンウェイベアリングとも呼べるもので、セルモーターからの動力をクランクシャフトに伝え、いったんエンジンがかかると今度は空回りするようになる部品です。
 明らかに消耗部品ですから、定期的に交換が必要です。特にSPSの年代のバイクでしたらとっくに交換時期に達しているか、もしくは既に交換されている車両が殆どだと思います。

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