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名車復活計画__その1__888SPS |
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組まれていたコンロッドを分解した状態です。コンロッド本体はPankl製です。コンロッドボルトにはPankl製とUmbrako製のものが存在しますが、ここに使われていたのはUmbrako製の部品でした。良く見るとコンロッドのハーフベアリングに穴が開いているのが判ると思います。紙に書いてある数字はコンロッドの識別番号です。 |
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このタイプのコンロッドには中心にオイル通路が設けられており、クランク大端部を潤滑したオイルがハーフベアリングの穴を通ってコンロッドの溝からこのオイル通路の穴に入ります。
そしてこの穴はコンロッド小端部へと続き、ピストンピンを潤滑するようになっているのです。その為にハーフベアリングに穴が開いているのです。
左が今まで使用されていたもの、右が新品です。旧タイプと新タイプでは穴の数が違います。おそらくハーフベアリングの中心付近は一番圧縮圧力がかかるので、この位置に穴を開けるのは避けた方がよいという結論になったのだと思います。それは使用済みハーフベアリング中心の穴の周りが剥離し始めている事からも窺い知る事が出来ます。コンロッド側には溝が設けられているので真中の穴が無くてもオイルは回ります。
メタルクリアランスを測定し、使用するハーフベアリングが決定されました。今回のメタルクリアランスはフロント、リア両方とも0.060mmです。ハーフベアリングにマーカーで書いてある数字は実測したベアリングの厚さです。
あらかじめ厚さを測定した沢山のハーフベアリングの中から適当な値のものを選択して使用すると、メタルクリアランスの数字をかなりのところまで自由に操ることが出来ます。私は0.050〜0.060mmあたりを好みます。
ちなみにRS等の競技車両では、メタルクリアランスを0.055mm以下で組み立てないように指示されます。
今回は画像からも判るように、コンロッドキャップ側には穴のあいていないタイプのハーフベアリングを使用しました。キャップ側にはオイル溝が存在しませんから穴の開いている意味が無いし、穴が無い方が面圧を小さくする事が出来ます。それに穴無しの方が部品の値段が安いのです。
こちらはクランクシャフトです。クランクピンのプラグを外して中を良く洗浄します。ここには金属の細かい粉がペースト状になって溜まるようになっているので、このような機会には必ず洗浄することをお奨めします。ネジ穴には必ずタップを通し、残っているロックタイトのカスをさらいます。
プラグをねじ込みます。その際中強度のロックタイトを少量使用します。大量に使用するとロックタイトがクランクピン内のオイル通路に出てしまいますので良くありません。オイルラインの中には何一つ異物を存在させてはいけません。
私はプラグをあまり強くねじ込みません。あまり強くねじ込むと金属の細い切片が発生し、それがオイルラインに入り込んでしまう可能性があると思うからです。
その代わりプラグの緩み止めに、画像のようにプラグをポンチでカシメてしまいます。
クランクシャフトとコンロッドの準備が出来たところでクランクにコンロッドを組み込みます。コンロッドボルトの締め方はPankl製とUmbrako製でその方法が違いますので注意が必要です。
コンロッドにある32という数字はコンロッドボルトを締め付ける際に測定したコンロッドボルトの長さの測定値(百分台の数字)です。
これでクランクシャフトのASSYが完成しました。
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