名車復活計画__その2__888SPS__TFD弐号
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 今回のレストアを行うに当たって、一番の大きな障害になっていたのがクランクケースです。レースで使用していると、クランクケースにクラックが入ったりしてケースが使えなくなることはそんなに珍しくありません。この個体もご多分に漏れず、クランクケースを何度か交換しています。途中から916レーシングのクランクケースを改造して 888 ccを 926 ccにして走っていました。

 つまりオリジナルに戻そうとした場合、この個体にはクランクケースが無いという事になります。新品の補修部品は当然のことながら既に入手不可です。いろいろ考えましたが、最初に思い付いたのは888SP3のクランクケースを使うということでした。これならばエンジン型式も同じで、おまけにTFDに在庫があります。問題なく組み上げる事が出来るでしょう。

 しかしいろいろと検証してみると、似たように見えるケースにも決定的な違いがあることに気付きました。どうしても部品が見つからなければしょうがないと諦めるしかないのですが、私としてはちょっと譲れないところがあったという訳です。それが何なのかは後ほど説明します。
現在888SPSのクランクケースを中古新品問わずとしても入手する事はおそらく不可能です。有り得ない話ですが、何処からか888SPSを車体ごと買ってくるしか手はないでしょう。そこで私は888SP5のケースを探す事にしました。

 クランクケースの品番はSPSが22520103A、SP5のそれが22520104A、品番こそ少し違いますが、外見的には全く見分けが付かない事は経験的に知っていました。これを探すしかないと思い詰め、結局最後にそれを入手する事が出来ました。それが画像のクランクケースです。

 おそらく一般の人が見て判別できるSPSとの違いは、製造年月の刻印だけではないでしょうか? 画像のようにそれは1992年10月になっています。つまりそれは1993年型のバイクに使われる部品ということで、SPSではなくSP5のものだという事が判りますね。
部品としての程度は運良く非常に良いものでした。サーキット走行歴も無さそうです。当然ながらクラック等の致命的な欠陥はもとより、何の問題も見つかりませんでした。
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